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じくじくと痛む指先が愛おしい。 あの人と同じ痛みだから。 今夜も今夜とて、庭の蔵で秘密の逢瀬が始まる。 重たい蔵の扉を、音が鳴らないようにゆっくりと開けて真っ暗な中をスマホのライトで照らす。 一寸先しか見えない中で、いつものようにいつもの場所にたどり着く。 ヴウンヴウンと鳴るそれは、一昔前のアイスクリームの冷凍庫。 祖父の叔父にあたる人が使っていたものらしい。年代物だけれど、仕事は相変わらずよくこなす。 冷凍庫の中で一輪の花と共に眠るあの人の顔が早く見たくて、少し急いでしまった。 その拍子にポケットの中からころんと小銭が飛び出していく。 ああ、煩わしい。けれど、お金には神様が宿っているのだから大事にしなくちゃね。 これもまた愛の試練だと思って、暗闇の中小銭が転がっていった方を照らす。 しばらくすれば、きらりと鈍く光るものがみつかった。 きっとあれに違いない。そうして一歩一歩歩を進めるうちに、それが何か文字の書かれた紙の上に乗っているのに気が付いた。 よく見てみると、幼稚園の時に使っていたひらがなの50音表だ。 懐かしい、祖父はこんなものまで蔵にしまい込んでいてくれたのか。 そう顔をほころばせた時だ。 ず……ズズ、と十円玉がひとりでに動き出した。 小銭は明確な意思を持って、ずるずると動いている。 やがて、ぴたりと止まって一文を完成させた。 『ぼくだよNPCだ』 その文字列を追って、バッと冷凍庫のある背後を振り返る。 あなたの目の前には死んだはずのNPCが、添えた一輪の花を持って立っていた。 ================================= ◆事前情報 あなたは小さな地方都市に住んでいる、ごく普通の高校生だ。 あなたの町では数年前から猟奇殺人が横行して大きなニュースになっていた。 惨たらしい死体に一輪の花を添える、その手口から連続殺人事件として捜査が進められていたのだ。マスコミや殺人マニアたちが押し寄せる毎日。不謹慎にも、まるでアイドルのようだと思っていた。 しかし一ヶ月前から、パッタリとその犯行はやんでいる。 その理由を、あなただけが知っている。 ◆公開HO あなたは小さな地方都市に住む、ごく普通の高校生だ。進学の関係で、祖父の住んでいた家で一人暮らしをしている。 友達もそこそこにいて、勉強もまあまあ出来て、そんなどこにでもいるごく普通の高校生だ。 たった、一度の過ちを除けば。 あなたには、ずっと前から好きな人がいた。 時期や経緯は先に決めて良い。 一ヶ月前、ついにその人物への執着は頂点へと達し、その勢いで彼(彼女)を殺害した。 遺体は蔵にあった、祖父の親戚が昔駄菓子屋をしていた時のアイスクリームの冷凍庫に、添えるように一輪の花と共に眠っている。 その日からだ。週に二度は遺体のあがっていた連続猟奇殺人がパッタリと無くなったのは。 あなたは知っている。 連続猟奇殺人はもう起きないこと。 あなただけは知っている。 あなたが殺した殺人鬼は、もう目覚めないこと。 ================================= シナリオ「冷たい心臓」 推奨技能:探索技能、隠す、ナイフ 準推奨技能:交渉技能≧ナビゲートor追跡>写真術(フレーバー) ================================= 内容 シナリオ本文pdf シナリオ本文txt トレーラー画像4枚 MAP画像3枚 その他素材1枚

冷たい心臓
冷たい心臓
冷たい心臓
冷たい心臓
じくじくと痛む指先が愛おしい。 あの人と同じ痛みだから。 今夜も今夜とて、庭の蔵で秘密の逢瀬が始まる。 重たい蔵の扉を、音が鳴らないようにゆっくりと開けて真っ暗な中をスマホのライトで照らす。 一寸先しか見えない中で、いつものようにいつもの場所にたどり着く。 ヴウンヴウンと鳴るそれは、一昔前のアイスクリームの冷凍庫。 祖父の叔父にあたる人が使っていたものらしい。年代物だけれど、仕事は相変わらずよくこなす。 冷凍庫の中で一輪の花と共に眠るあの人の顔が早く見たくて、少し急いでしまった。 その拍子にポケットの中からころんと小銭が飛び出していく。 ああ、煩わしい。けれど、お金には神様が宿っているのだから大事にしなくちゃね。 これもまた愛の試練だと思って、暗闇の中小銭が転がっていった方を照らす。 しばらくすれば、きらりと鈍く光るものがみつかった。 きっとあれに違いない。そうして一歩一歩歩を進めるうちに、それが何か文字の書かれた紙の上に乗っているのに気が付いた。 よく見てみると、幼稚園の時に使っていたひらがなの50音表だ。 懐かしい、祖父はこんなものまで蔵にしまい込んでいてくれたのか。 そう顔をほころばせた時だ。 ず……ズズ、と十円玉がひとりでに動き出した。 小銭は明確な意思を持って、ずるずると動いている。 やがて、ぴたりと止まって一文を完成させた。 『ぼくだよNPCだ』 その文字列を追って、バッと冷凍庫のある背後を振り返る。 あなたの目の前には死んだはずのNPCが、添えた一輪の花を持って立っていた。 ================================= ◆事前情報 あなたは小さな地方都市に住んでいる、ごく普通の高校生だ。 あなたの町では数年前から猟奇殺人が横行して大きなニュースになっていた。 惨たらしい死体に一輪の花を添える、その手口から連続殺人事件として捜査が進められていたのだ。マスコミや殺人マニアたちが押し寄せる毎日。不謹慎にも、まるでアイドルのようだと思っていた。 しかし一ヶ月前から、パッタリとその犯行はやんでいる。 その理由を、あなただけが知っている。 ◆公開HO あなたは小さな地方都市に住む、ごく普通の高校生だ。進学の関係で、祖父の住んでいた家で一人暮らしをしている。 友達もそこそこにいて、勉強もまあまあ出来て、そんなどこにでもいるごく普通の高校生だ。 たった、一度の過ちを除けば。 あなたには、ずっと前から好きな人がいた。 時期や経緯は先に決めて良い。 一ヶ月前、ついにその人物への執着は頂点へと達し、その勢いで彼(彼女)を殺害した。 遺体は蔵にあった、祖父の親戚が昔駄菓子屋をしていた時のアイスクリームの冷凍庫に、添えるように一輪の花と共に眠っている。 その日からだ。週に二度は遺体のあがっていた連続猟奇殺人がパッタリと無くなったのは。 あなたは知っている。 連続猟奇殺人はもう起きないこと。 あなただけは知っている。 あなたが殺した殺人鬼は、もう目覚めないこと。 ================================= シナリオ「冷たい心臓」 推奨技能:探索技能、隠す、ナイフ 準推奨技能:交渉技能≧ナビゲートor追跡>写真術(フレーバー) ================================= 内容 シナリオ本文pdf シナリオ本文txt トレーラー画像4枚 MAP画像3枚 その他素材1枚